LCDパネル

IPSやTNってなに?ディスプレイのパネル方式をざっくり解説

ディスプレイやモニターの商品説明を見ていると、IPS、TN、VA、OLED、Fast IPS、Nano IPSといった言葉を見かけることがあります。

「なんとなく画質に関係ありそうだけど、結局これは何?」と思ったことはありませんか?これらは、ざっくりいうと ディスプレイに使われているパネルの種類 を表す言葉です。

本記事では、技術的な細かい仕組みには深く触れず、

「こういうものをIPSと呼ぶ」
「OLEDは液晶とは少し違う」
「TN、VA、IPSにはそれぞれ得意・不得意がある」

という程度に、パネル方式の違いをざっくり解説します。

なお、応答速度やリフレッシュレート、解像度、色域などのディスプレイのスペックについては別記事で解説します。

〇パネル方式とは?

ディスプレイには、映像を表示するためのパネルが使われています。

現在よく見かけるパネル方式は、大きく分けると次の4種類です。

  • TN
  • VA
  • IPS
  • OLED、有機EL

このうち、TN・VA・IPS はまとめて 液晶パネル、LCDパネル と呼ばれるものです。

一方で、OLED、有機EL は液晶パネルとは構造が異なり、有機ELパネル として分けて考えることができます。

また、Fast IPSやNano IPS、AHVAなどは、基本的にはIPS系の派生パネルと考えるとわかりやすいです。

〇LCDパネルと有機ELパネルの違い

まずは大きく分けて、LCDパネル有機ELパネル の違いを見ていきます。

・LCDパネルとは?

LCDパネルは、ざっくりいうとバックライトの光を、赤・緑・青のカラーフィルターに通して色を表現する方式です。

ディスプレイの後ろ側に白色の光を出すバックライトがあり、その光を液晶で調整しながら、赤・緑・青のフィルターを通して色を作ります。
つまり、LCDパネルは基本的に 後ろから光を当てて、それを調整して映像を表示する方式 です。

LCDパネル

・有機ELパネルとは?

有機ELパネル、OLEDは、LCDパネルとは違い、基本的にバックライトを使いません

赤・緑・青の発光体そのものが光ることで色を表現します。
つまり、有機ELパネルは画面の各色が自分で光って映像を表示する方式と考えるとわかりやすいです。

有機EL

・黒の表現が大きく違う

LCDパネルと有機ELパネルの違いとしてわかりやすいのが、黒の表現 です。

LCDパネルはバックライトの光を使っているため、黒を表示するときは、遮光して光を通さないようにして黒を表現します。
しかし、完全に光を遮るのは難しいため、どうしてもわずかに光が漏れることがあります。そのため、製品や方式によっては黒が少し白っぽく見えることがあります。

一方、有機ELパネルは発光体そのものが光る方式です。

黒を表示するときは、その部分を消灯することで黒を表現できます。そのため、LCDパネルよりも黒がより暗く、くっきりした映像になりやすいです。

・LCDパネルと有機ELパネルのメリット・デメリット

LCDパネルのメリットは、比較的安価な製品が多く、選択肢が非常に多いことです。TN、VA、IPSなど、同じLCDパネルでも方式によって特徴が違うため、用途に合わせて選びやすいのもメリットです。

一方で、構造上バックライトを使うため、黒の表現では有機ELに劣る場合があります。

有機ELパネルのメリットは、黒の表現が非常に優れており、映像がくっきり見えやすいことです。また、バックライトが不要なため、薄型化しやすいという特徴もあります。

一方で、LCDパネルと比べると価格が高めになりやすく、使い方によっては焼き付きが発生する可能性があります。最近は技術の進歩によって焼き付きはかなり軽減されていますが、同じ画面を長時間表示し続ける使い方には注意が必要です。

〇TN・VA・IPSの違い

次に、LCDパネルの中にある TN・VA・IPS の違いを見ていきます。

細かい原理を説明するとかなり専門的になるため、ここではざっくりとバックライトの光をどのように調整するかの違いと考えてください。

この光の調整の仕方によって、色の見え方、黒の表現、視野角、応答速度などに違いが出ます。

・TNパネル

TNパネルは、昔からある液晶パネル方式のひとつです。

特徴としては、比較的安価で、応答速度が速い傾向があります。そのため、ゲーム向けモニターで使われることもあります。特に、競技性の高いFPSや格闘ゲームなど、画面の切り替わりの速さを重視する用途に向いているとされます。

一方で、色の再現性や視野角はあまり得意ではありません。画面を見る角度を変えると、色が変わって見えたり、白っぽく見えたりすることがあります。

TNパネルの特徴

  • 比較的安価
  • 応答速度が速い傾向がある
  • 高リフレッシュレートの製品に採用されることがある
  • 色の再現性はやや苦手
  • 視野角が狭く、斜めから見ると色が変わりやすい

向いている用途

  • FPSゲーム
  • 格闘ゲーム
  • 競技性の高いゲーム
  • 価格を抑えたい場合

・VAパネル

VAパネルは、黒の表現やコントラストに強い液晶パネル方式です。

TNパネルに比べると黒が引き締まって見えやすく、映像にメリハリが出やすいのが特徴です。映画や動画を見たときに、暗いシーンが比較的きれいに見えやすい傾向があります。

また、TNパネルよりは視野角も改善されています。

ただし、IPSパネルほど視野角が広いわけではなく、斜めから見ると色や明るさが変わって見えることがあります。

また、応答速度はTNパネルに比べると遅めになりやすい傾向があります。

VAパネルの特徴

  • 黒が引き締まって見えやすい
  • コントラストが高い
  • 映像にメリハリが出やすい
  • TNより視野角は広め
  • 応答速度はやや遅めになりやすい

向いている用途

  • 映画鑑賞
  • 動画視聴
  • 暗いシーンの多い映像
  • コントラストを重視する用途

・IPSパネル

IPSパネルは、現在かなり広く使われている液晶パネル方式です。

最大の特徴は、視野角が広く、斜めから見ても色の変化が少ないことです。また、色の再現性も高い傾向があり、画面の見え方が自然で美しく感じやすいです。

そのため、事務作業、Web閲覧、イラスト制作、写真編集、動画視聴など、幅広い用途に使いやすいパネルです。迷ったらIPSを選ぶ、という考え方もよくあります。

一方で、黒の表現はVAパネルほど得意ではない場合があり、製品によっては画面全体が少し白っぽく見えることがあります。

また、昔のIPSパネルは応答速度が遅いといわれることもありました。

ただし、最近ではFast IPSなどの派生パネルにより、応答速度が改善された製品も増えています。

IPSパネルの特徴

  • 視野角が広い
  • 斜めから見ても色が変わりにくい
  • 色の再現性が高い傾向がある
  • 用途の幅が広い
  • VAほど黒の表現は得意ではない場合がある
  • 製品によっては画面が少し白っぽく見えることがある

向いている用途

  • 事務作業
  • Web閲覧
  • イラスト制作
  • 写真編集
  • 動画視聴
  • 普段使い全般

・OLED、有機ELパネル

OLED、有機ELパネルは、赤・緑・青の発光体が自ら光る方式です。

LCDパネルのようなバックライトを使わないため、黒を表示するときはその部分を消灯できます。そのため、黒が非常に暗く、コントラストの高い映像を表現しやすいです。

映像のくっきり感や、暗いシーンの表現を重視する場合に魅力的な方式です。

一方で、LCDパネルと比べると価格が高めになりやすく、使い方によっては焼き付きのリスクがあります。

OLEDパネルの特徴

  • 自ら発光する
  • バックライトが不要
  • 黒の表現が非常に得意
  • コントラストが高い
  • 薄型化しやすい
  • 価格は高めになりやすい
  • 焼き付きに注意が必要

向いている用途

  • 映画鑑賞
  • 高画質な映像視聴
  • 黒の表現を重視する用途
  • コントラストを重視する用途
  • 高画質重視のゲーム

〇派生パネルについて

ディスプレイの商品説明では、単純にTN、VA、IPS、OLEDと書かれているだけでなく、次のような表記を見かけることがあります。

  • Nano IPS
  • AHVA(Fast IPS)

このような表記は、基本的には元になる方式の派生や、メーカー独自の技術名であることが多いです。

たとえば、AHVA(Fast IPS)やNano IPSはIPS系の特徴を持ちながら、応答速度や色域などを強化したものとして扱われることがあります。

AHVA(Fast IPS)は名前に「VA」と入っていますが、一般的にはIPS系の広視野角パネルとして扱われます。

ただし、派生パネルは名前だけで性能を判断しにくい場合があります。同じIPS系でも製品によって応答速度、色の見え方、コントラスト、価格は変わります。

そのため、派生パネルの名前は
「通常のIPSやVAなどを改良したものかもしれない」
くらいに考え、実際に購入する場合は製品ごとのスペックやレビューも確認するのがおすすめです。

・AHVA(Fast IPS)とは?

Fast IPSは、IPSパネルの弱点とされていた応答速度を改善したタイプです。

IPSの視野角の広さや色の見え方を保ちつつ、ゲーム用途にも使いやすいように応答速度を速くしたものと考えるとわかりやすいです。

最近のゲーミングモニターでは、AHVA(Fast IPS)を採用した製品もよく見かけます。

・Nano IPSとは?

Nano IPSは、IPS系のパネルに色の表現を強化する技術を組み合わせたものです。

一般的なIPSよりも広い色域を表現しやすく、色の鮮やかさを重視した製品に採用されることがあります。

また、ゲーミングモニター向けに応答速度を高めた製品もあります。

ただし、価格はやや高めになりやすく、製品によってはコントラストが低めに感じられる場合もあります。そのほか、最近は採用されることが少なくなりつつあります。

〇まとめ

IPS、TN、VA、OLEDといった言葉は、ディスプレイに使われている パネル方式の種類 を表しています。

大きく分けると、TN・VA・IPSは液晶パネル、OLEDは有機ELパネルです。

LCDパネルはバックライトの光を使って色を表現し、有機ELパネルは発光体そのものが光って色を表現します。

TNは速さと価格、VAは黒の表現とコントラスト、IPSは視野角と色の安定性、OLEDは黒の深さと高コントラストが特徴です。

それぞれに得意・不得意があるため、どれが絶対に一番というわけではありません。

普段使いで迷った場合はIPS、映画や動画重視ならVAやOLED、競技性の高いゲーム重視ならTNやFast IPSなどを候補にすると選びやすくなります。

ディスプレイ選びでは、パネル方式だけでなく、応答速度、リフレッシュレート、解像度、色域、端子、サイズなども重要です。

これらの詳しいスペックについては、別記事で解説します。